社労士監修 最低賃金の計算方法を徹底解説!
2023/09/25
2023年10月1日以降の栃木県の最低賃金が、現状から41円引き上げられ954円となります。一部対象外とする手続きをした障がい者以外は全員が対象となりますので、高校生だろうと80代の高齢者だろうと時給954円以上とする必要があります。労働時間の長短も関係ないので、週1回2時間だけ清掃に来てもらっているような場合も同様です。
これだけ大幅な引き上げとなると、うっかりしていると「うちのスタッフの時給が最低賃金を下回っていた!」ということも起こりそうです。ぜひ最低賃金の計算の仕方を理解してください。
目次
最低賃金をクリアしているかの確認方法
それでは自社の給与が最低賃金をクリアしているかは、どのように確認すればよいのでしょうか。正社員の場合は基本給のみというケースはまれで、様々な手当が支給されているケースが多いと思います。パートタイマーやアルバイトの方にも手当が支給されている場合も、その取扱いは正社員と同様です。次の項目をご確認ください。
最低賃金の対象となる手当ならない手当
対象となる手当
・役職手当、資格手当など、毎月必ず定額が支給されるもの
・その他以下の「対象とならない手当」に記載されていないもの
対象とならない手当
・精皆勤手当(欠勤があると支給されない)、無事故手当(事故を起こすとしばらく支給されない)などのように、毎月必ず支給されるとは限らないもの
・慶弔に関するもののように臨時に支給される手当
・賞与、時間外労働手当、通勤手当、家族手当
精皆勤手当と住宅手当は取り扱いが逆
手当の名称が時間外労働手当の計算に含むかどうかの判断と似ているため混乱しがちですが、注意が必要なものは「精皆勤手当」と「住宅手当」です。時間外労働手当の計算と最低賃金の計算では逆の取り扱いになります。
時間外割増賃金の計算 | 最低賃金の計算 | |
精皆勤手当 | 含む | 含まない |
住宅手当 | 含まない | 含む |
ご注意ください。
具体的な計算方法
時給制の場合
そのまま時給が最低賃金以上であること
ベテランのパートタイマーに役職手当を支給しているような場合には、時給換算した役職手当との合計で判断します。
時給換算の役職手当=役職手当÷月平均所定労働時間数
月給制の場合
上記に述べた最低賃金の対象となる手当と基本給の合計で判断します。
対象となる手当と基本給の合計÷月平均所定労働時間数
歩合給がある場合
上記の時給制、月給制の場合と、次に計算する歩合給がある場合の金額を合計して判断します。
歩合給÷その月の総労働時間
10月1日までには昇給を
最低賃金は10月1日から改定されます。もしも最低賃金を下回ったまま放置すると、法律上は最低賃金法違反で50万円の罰金が科される可能性があります。実際には何回も行政から指摘されても改善しない場合にのみ、適用されるものですが。
どちらにしても最低賃金を下回っていると助成金の申請もできませんし、労働基準監督署や労働局の調査が入れば、差額の支払いを求められます。従業員さんに安心して働いてもらうためにも、9月中に貴社の最低賃金の状況を確認しておいてください。
給与計算期間の途中で昇給すると給与計算担当者の手間が非常にかかりますので、給与計算の締め日を基準に昇給するのがお勧めです。